先生、これ教えて!

日能研のテキストからこんな問題をもってきた子がいました。

【問い】1から順に整数が書かれているカードを円形に並べます。これらを1のカードから始めて時計回りに1枚おきに取り除いていきます。

(1)1から12までのカードを並べたとき、最後に残るカードの番号は何ですか。(2)1から16までのカードを並べたとき、最後に残るカードの番号は何ですか。(3)1から17までのカードを並べたとき、最後に残るカードの番号は何ですか。(4)1から2001までのカードを並べたとき、最後に残るカードの番号は難ですか。  

   これは昔流行した問題で、(4)なんかは出題した年の年号にすることが多いですね。 

    質問に来た子供は(3)まではできていました。分からないのは(4)です。ちなみに(4)の答えは1954です。

  この子供にはどのように指導するのが良いでしょう?(4)を解説するだけでよいのでしょうか?  

   私は大手塾講師時代にこの問題を扱うことがありました。正直、扱う問題が多すぎて(4)の解き方を教えて「ハイ、いっちょあがり!」でした。最悪「(3)までできればいいよ」でした。

  ところが、生徒の気持ちはどうでしょう。もしこの問題が出題されたら、苦手意識をもったまま取り組むことになるから、きっと実力を出し切ることはできないでしょう。

  受験は不安とストレスとの戦いです。不安とストレスをぎりぎりまで取り除くのが教師の仕事。ならば中途半端な指導はタブーです。

 この問題は、中学受験ではいわゆる「麻布チック」な問題です。ですが、開成や武蔵、筑駒、桜蔭、駒東などの難関校にも共通する問題意識を含んだ問題ですので、その問題意識をお伝えしたいと思います。

 受験上は「解き方」と「考え方」は違います。端的に言うと、「解き方」は複数ありますが、「考え方」は一つということです。受験に勝つ子の暗黙の秘訣です。  具体的に言うと、(1)〜(3)までは調べ上げることでなんとか正解に到達することができます。ただ,「単に調べあげる」といっても,段々畑のような図表を書いたり,多角形を描いてみたり,いろいろな整理の仕方があります。そして,その一つ一つの整理の仕方には一長一短があります。

  絶対唯一の正解を探そうとすると,ものすごい労力を使います。しかしその必要はありません。さまざまな解き方を試してみて,それぞれの解法の長所と短所を整理すればいいんです。本番で使えるかどうか分からない「絶対唯一の解法」を求めてさまようなんて,必要ありません。

   このような意味で「解法」は複数ある。 しかし,こなしきれるかどうかも分からない大量の宿題に追われている人は,唯一の解法を探そうとします。だから「解法」も「考え方」も同じで一つしかないと思い込む,したがってまた,勉強=暗記=肉体労働,となってしまう。

  しかし成功する人は違います。

  複数ある「解法」を束ねる「考え方」を探すんです。覚えるだけじゃ物足りないと考える人たちです。

 (1)から(3)までのアプローチの仕方と(4)のアプローチの仕方は違う,あるいは,(1)(2)は偶数だけど(3)(4)は奇数だ,などと気づく。問題意識が生じるから問題をさらによく読む。

 与えられた問題にすぐ飛びつかない。やれるところまでやってみる、というようなバクチは打たない。そうではなくて、問題を俯瞰して、まずは問題のフレームを掴む。教師はこれを影で支えるだけです。

    私が授業で先の問題を扱うなら、こんなふうになります。

 まずは自力でアタックさせる。

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  (1)〜(3)までのやり方でうまい方法をしている生徒がいれば、それを取り上げてみんなにフィードバックする。 ここで(4)につながる考え方が出れば、流れのよい授業で終わる。

  ↓  

    注意点は、解法は必ず生徒に出させること。先生の質問に生徒がイエス・ノーだけで答えるような授業にしないこと。先生がすでに知っている解法に生徒を誘導しようとすると、授業が命令的になってしまい、生徒が受身になってしまう。だから、もし生徒が納得のいかないような授業になると、先生は無能力扱いされてしまいます。

  ↓

  しかし、実際の授業では(4)の切り口を出せる子供は少ないでしょう。ですから、(4)はある程度の誘導が必要です。それでも誘導しても理解不可能な生徒もいるはずです。 その場合、(4)を説明しっ放しではよくありません。生徒に不安やストレスを与えてしまうからです。

  ↓

  こうして、授業の流れは、(1)(2)(3)は生徒に自力でやらせる。(4)を議論してなんとなくイメージさせる。最後に、(3)に戻ったり、小さな奇数で考え方の原理を完全に理解させる。こんな具合になると思います。時間にして15分〜20分くらいでしょうか。実際の入試を意識すると15分以内が望ましいところです。

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