2007年02月28日
人のいいところに目を向けさせる(第五章9)
今日もみなさんお疲れ様です。ここ1ヶ月ほど「何が教育か」についてまとめていきました。「何が教育か」というのは「自然に任せていては学ぶことができないこと」です。本能に流されることなく自覚的に学ばなければならないことは何か、です。今回で幸せ受験塾はいったん終わりますが、まだまだ考察を続けていきたいと思います。
さて、今日の受験塾は人のいいところに目を向けさせる(第五章9)です。
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第五章 脱力状態に活力を吹き込む〜「もう大丈夫(自信)」から「なるほど(動機)」へ
9.こどもに気付きを与える秘技(7)……人のいいところに目を向けさせる
自己完結しているこどもたちは「何かいいモノ」を期待しています。ただ、「何がいいモノ」なのかは分かっていません。受験は必要なものだろうけれど、絶対不可欠なものでもない、という感じです。「あんた悔しくないの?」って聞いても、「じゃあ、何でもいいから、いいモノちょうだい」です。今までの苦労を台無しにするような発言を平気で言います。
自己完結するこどもたちは、「親の期待」と「こどもの承認欲求」が硬直化した「1対1の関係」にうんざりしています。あと一歩のところで伸び悩んでいるこどもは、表情が暗い。声が小さい。気持ちが萎縮している。
だからといって、「1対1の関係」がそもそも不要だったというわけではありません。「1対1の関係」がない、つまり、親がこどもに全く期待しない、こどもも親の視線を気にしない、という状況ではうまくいくはずがありません。小学生の場合、あくまで「1対1の関係」が基礎にあります。
もちろん、「こどもにはもう期待していないの」って言う人もいますが、それは「期待を裏切られて傷つくくらいなら期待しないほうがマシ」ということであって、ホンネは「期待したい」なんです。だから、通常は「1対1の関係」はできています。
ただ、親とこどもの「1対1の関係」はお互いに縛り合う関係ですから、当然行き詰る。だから、こどもがうんざりするのも当然なのです。
そこで、「いつもの親と、いつもの先生と、いつもの教材で勉強する、初めからすべてが与えられていて、ただそれをこなしていく」、そんな消化試合のような受験生活に一石を投じてもらいたいんです。硬直した「1対1の関係」から、何かいいモノが見つかる「1対多数の関係」への脱皮です。
人は何か立派なものの頼ろうとします。だから、こどもが親に寄り掛かろうとするのは自然なことです。しかし「絶対に正しい人」なんていません。その意味でこどもたちには「誰が正しいか」という「1対1の関係」から、「何が正しいか」という「1対多数の関係」に世界を広げさせなければならないのです。
「1対多数の関係」への第一歩は、「人のいいところを見つけてホメさせる」です。受験は競争試験ですから、勢い自分に埋没してしまい自分を見失いがちになります。この点、高校生にもなればいろいろ受験情報を集めて、「この問題集は自分に合う」「この予備校なら頑張れる」「アノ人のやり方を真似してみよう」などと判断し、自分を見失ったときでも自力で軌道修正することができます。これに対して、小学生は人の良いところを自分で取り入れて、軌道修正することができないと思われがちです。
しかし、こどもが「人の良いところを真似しよう」と思うかどうかは大人の心がけ次第です。日頃から「これは私の責任、これはあんたの責任」と割り切るこどもは自分以外の人をよく見ようとしません。
こんなことでは、相手の気持ちが読めないために、周囲から見放される。自分の言いたいことばかり言うから、周囲を不快な思いにさせる。謙虚さがない、恩義を覚えない、雑用を嫌がる、逃げ出すのが得意、力のある人の機嫌ばかりを伺う、だから人間関係も長持ちしない。自分に引きこもって疲れ果てる。外に目が向かないこどもは受験によって自分を傷つけようとしてしまいがちです。
だから、日頃から「人の良いところに目を向けて欲しい」「他人の行動・結果を他人事でなく、自分の問題として捉えて欲しい」とこどもたちに訴えかけていく必要があるんです。人の良いところを自分のものにできる人だけが、成長し続けることができるんです。そのためには「1対1の関係」では物足りない。普段からこうしたことを教え込んでいるかどうかで、その子の危機管理力がつくんです。しかも、社会に出ても絶対に役に立つ考え方です。
そこで「どのように話せばいいか」です。例えば、朝暗いうちから町を掃除している人がいる。「それはその人の責任」と割り切るな、と教える。もしその人たちがしなければ、自分の町はどうなるか、と想像させる。その人がいなかったら町はどうなるかを想像させる。「自分が代わってやってみろ」とまでは言いませんが、人のやることには必ず価値があることを分からせる。それがどんな価値をもち、自分とどのように関わっているかを考させるのです。
受験勉強でも、同じクラスの友達が何をしているのか、同じ事をやっているように見える友達の成績がなぜ伸びたのかを、こども自身に考えさせる。目を外に向ける習慣があれば、こどもたちが硬直した「1対1の関係」に埋没することはないのです。受験のライバルが何をどのようにやっているのかを知らずにいることほど危険なことはありません。しかも、他人というお手本を素材にすれば冷静に考えることができますし、何より「自分の頭」で考える訓練になりますから受験にも役立ちます。
また、「人の良いところに目を向けさせる」と同時に「人の批判は絶対に言わせない」にも気を使ってください。人は二つの事をいっぺんに考えることはできないからです。小さいときこそ、いいことをできるだけ吸収させたいですから、人の批判をさせている場合ではありません。
さらに、「人のいいところを褒めることは、自分のことを蔑(さげす)むことではない」ことを教えてください。ささくれ立った受験生活ではとても大切なことです。基本的に能力は競うものではなく、共有するものです。能力を競うだけの人は必ず行き詰ります。だから、「自分の欠点を包み隠さずさらけ出し、人の経験を盗むことができる人が強い」ということを教えてください。
結果として、人の優れたところによく目が行く、それを認めてほめることができるようになると、その子も他人から受け入れられやすくなります。困っていれば誰となく向こうのほうから手を差し伸べてくれるようになる。自分ひとりでは解決できなかったことが解決できるようになり、自分の本当の能力に目が行くようになる。受験は多くの人や書物との出会いがあってこそ充実します。
子育ての目標は自分を超えさせることにあります。能力のあるこどもをいつまでも自分の枠の中に収めようとしてはいけません。カーリル・ギブランが書いた「預言者」の中に次のような子供に関する詩があります。
あなたの子どもは あなたの子どもではない
子どもは「生命」の渇望からの子どもである
子どもは あなたを通ってくる
しかし あなたからではない
子どもは あなたと共にある
しかし 子どもは あなたのものではない
あなたは 子どもに愛を与えることが出来る
しかし 考えを与えることは出来ない
子どもは 自分の考えをもっているのだから
あなたは 子どもの体を 動かしてやれる
しかし 子どもの心は 動かせない子どもは 明日の家に生きている
あなたは それを訪ねることも 見ることもできない
あなたは あなたの子どもを 思い通りにしようとしてはいけない
人生は 後ろに退き 昨日にとどまるものではないのだから
あなたは 弓である
そして あなたの子どもらは
生きた矢としてあなたの手から放たれる
弓をひくあなたの手にこそ 喜びあれ……
以上で幸せ受験塾の本編は終わりです。少しお休みをいただいて、来週からは「指導の現場」で受験に役立つ情報をお届けしたいと思います。
いつも本当にありがとうございます。皆様の1クリックで今日も1日延命できます。→人気blogランキングへ
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9.こどもに気付きを与える秘技(7)……人のいいところに目を向けさせる
自己完結しているこどもたちは「何かいいモノ」を期待しています。ただ、「何がいいモノ」なのかは分かっていません。受験は必要なものだろうけれど、絶対不可欠なものでもない、という感じです。「あんた悔しくないの?」って聞いても、「じゃあ、何でもいいから、いいモノちょうだい」です。今までの苦労を台無しにするような発言を平気で言います。
自己完結するこどもたちは、「親の期待」と「こどもの承認欲求」が硬直化した「1対1の関係」にうんざりしています。あと一歩のところで伸び悩んでいるこどもは、表情が暗い。声が小さい。気持ちが萎縮している。
だからといって、「1対1の関係」がそもそも不要だったというわけではありません。「1対1の関係」がない、つまり、親がこどもに全く期待しない、こどもも親の視線を気にしない、という状況ではうまくいくはずがありません。小学生の場合、あくまで「1対1の関係」が基礎にあります。
もちろん、「こどもにはもう期待していないの」って言う人もいますが、それは「期待を裏切られて傷つくくらいなら期待しないほうがマシ」ということであって、ホンネは「期待したい」なんです。だから、通常は「1対1の関係」はできています。
ただ、親とこどもの「1対1の関係」はお互いに縛り合う関係ですから、当然行き詰る。だから、こどもがうんざりするのも当然なのです。
そこで、「いつもの親と、いつもの先生と、いつもの教材で勉強する、初めからすべてが与えられていて、ただそれをこなしていく」、そんな消化試合のような受験生活に一石を投じてもらいたいんです。硬直した「1対1の関係」から、何かいいモノが見つかる「1対多数の関係」への脱皮です。
人は何か立派なものの頼ろうとします。だから、こどもが親に寄り掛かろうとするのは自然なことです。しかし「絶対に正しい人」なんていません。その意味でこどもたちには「誰が正しいか」という「1対1の関係」から、「何が正しいか」という「1対多数の関係」に世界を広げさせなければならないのです。
「1対多数の関係」への第一歩は、「人のいいところを見つけてホメさせる」です。受験は競争試験ですから、勢い自分に埋没してしまい自分を見失いがちになります。この点、高校生にもなればいろいろ受験情報を集めて、「この問題集は自分に合う」「この予備校なら頑張れる」「アノ人のやり方を真似してみよう」などと判断し、自分を見失ったときでも自力で軌道修正することができます。これに対して、小学生は人の良いところを自分で取り入れて、軌道修正することができないと思われがちです。
しかし、こどもが「人の良いところを真似しよう」と思うかどうかは大人の心がけ次第です。日頃から「これは私の責任、これはあんたの責任」と割り切るこどもは自分以外の人をよく見ようとしません。
こんなことでは、相手の気持ちが読めないために、周囲から見放される。自分の言いたいことばかり言うから、周囲を不快な思いにさせる。謙虚さがない、恩義を覚えない、雑用を嫌がる、逃げ出すのが得意、力のある人の機嫌ばかりを伺う、だから人間関係も長持ちしない。自分に引きこもって疲れ果てる。外に目が向かないこどもは受験によって自分を傷つけようとしてしまいがちです。
だから、日頃から「人の良いところに目を向けて欲しい」「他人の行動・結果を他人事でなく、自分の問題として捉えて欲しい」とこどもたちに訴えかけていく必要があるんです。人の良いところを自分のものにできる人だけが、成長し続けることができるんです。そのためには「1対1の関係」では物足りない。普段からこうしたことを教え込んでいるかどうかで、その子の危機管理力がつくんです。しかも、社会に出ても絶対に役に立つ考え方です。
そこで「どのように話せばいいか」です。例えば、朝暗いうちから町を掃除している人がいる。「それはその人の責任」と割り切るな、と教える。もしその人たちがしなければ、自分の町はどうなるか、と想像させる。その人がいなかったら町はどうなるかを想像させる。「自分が代わってやってみろ」とまでは言いませんが、人のやることには必ず価値があることを分からせる。それがどんな価値をもち、自分とどのように関わっているかを考させるのです。
受験勉強でも、同じクラスの友達が何をしているのか、同じ事をやっているように見える友達の成績がなぜ伸びたのかを、こども自身に考えさせる。目を外に向ける習慣があれば、こどもたちが硬直した「1対1の関係」に埋没することはないのです。受験のライバルが何をどのようにやっているのかを知らずにいることほど危険なことはありません。しかも、他人というお手本を素材にすれば冷静に考えることができますし、何より「自分の頭」で考える訓練になりますから受験にも役立ちます。
また、「人の良いところに目を向けさせる」と同時に「人の批判は絶対に言わせない」にも気を使ってください。人は二つの事をいっぺんに考えることはできないからです。小さいときこそ、いいことをできるだけ吸収させたいですから、人の批判をさせている場合ではありません。
さらに、「人のいいところを褒めることは、自分のことを蔑(さげす)むことではない」ことを教えてください。ささくれ立った受験生活ではとても大切なことです。基本的に能力は競うものではなく、共有するものです。能力を競うだけの人は必ず行き詰ります。だから、「自分の欠点を包み隠さずさらけ出し、人の経験を盗むことができる人が強い」ということを教えてください。
結果として、人の優れたところによく目が行く、それを認めてほめることができるようになると、その子も他人から受け入れられやすくなります。困っていれば誰となく向こうのほうから手を差し伸べてくれるようになる。自分ひとりでは解決できなかったことが解決できるようになり、自分の本当の能力に目が行くようになる。受験は多くの人や書物との出会いがあってこそ充実します。
子育ての目標は自分を超えさせることにあります。能力のあるこどもをいつまでも自分の枠の中に収めようとしてはいけません。カーリル・ギブランが書いた「預言者」の中に次のような子供に関する詩があります。
あなたの子どもは あなたの子どもではない
子どもは「生命」の渇望からの子どもである
子どもは あなたを通ってくる
しかし あなたからではない
子どもは あなたと共にある
しかし 子どもは あなたのものではない
あなたは 子どもに愛を与えることが出来る
しかし 考えを与えることは出来ない
子どもは 自分の考えをもっているのだから
あなたは 子どもの体を 動かしてやれる
しかし 子どもの心は 動かせない子どもは 明日の家に生きている
あなたは それを訪ねることも 見ることもできない
あなたは あなたの子どもを 思い通りにしようとしてはいけない
人生は 後ろに退き 昨日にとどまるものではないのだから
あなたは 弓である
そして あなたの子どもらは
生きた矢としてあなたの手から放たれる
弓をひくあなたの手にこそ 喜びあれ……
以上で幸せ受験塾の本編は終わりです。少しお休みをいただいて、来週からは「指導の現場」で受験に役立つ情報をお届けしたいと思います。
いつも本当にありがとうございます。皆様の1クリックで今日も1日延命できます。→人気blogランキングへ
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この記事へのコメント
1. Posted by
まりこはん
2007年02月28日 13:40
幸せ受験塾がおしまいになってしまうのは寂しいです。出会いから、早数ヶ月。繰り返し読んでいました。
最後の詩は締めくくりにふさわしい、素晴らしい詩ですね。
明日の家に生きるこどもたちを、より高く遠くへ飛ばしてやれる母になるよう努力していきたいと心を新たにしました。
お疲れ様。今後の記事も楽しみにしています。
>いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。まだまだ課題が山積なので、受験が終わるまで、なが〜くお付き合いください!
最後の詩は締めくくりにふさわしい、素晴らしい詩ですね。
明日の家に生きるこどもたちを、より高く遠くへ飛ばしてやれる母になるよう努力していきたいと心を新たにしました。
お疲れ様。今後の記事も楽しみにしています。
>いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。まだまだ課題が山積なので、受験が終わるまで、なが〜くお付き合いください!
2. Posted by
もりもり
2007年02月28日 18:06
真の賢者とは「全てのものから学ぶ者」という言葉があります。まったくそのとおりですねぇ。
幸せ受験塾お疲れ様でした!
結局受験に勝つということは、こどもを成長させることなんですね。
これからのブログも楽しみにしています。
>もりもりさん、ご無沙汰です。お元気ですか?現在まだ連絡待ちの状態で・・・。変化があったらご連絡させていただきます。これからもよろしくお願いします!
幸せ受験塾お疲れ様でした!
結局受験に勝つということは、こどもを成長させることなんですね。
これからのブログも楽しみにしています。
>もりもりさん、ご無沙汰です。お元気ですか?現在まだ連絡待ちの状態で・・・。変化があったらご連絡させていただきます。これからもよろしくお願いします!
3. Posted by
かあこ
2007年03月01日 09:02
これだけのものをまとめるのは大変でしたでしょうね、お陰様で今の自分と重なり参考になるものが沢山あり助かります。
読み返しては子供とともに親も成長しなくてはいけないと、しみじみ思います。
勉強させて頂き ありがとうございました。
今後のブログを楽しみにしているとともに、ご活躍も祈念しています。
>かあこさん
いつもお読みいただいて、本当にありがとうございます。恥ずかしながらまだまだ勉強中です。特に二章は書き直しが必要だと気付いています。でも「えいっ」って思い切って書かないと先に進まないと思いつつ進めていました。これからもよろしくお願いします!












