四谷大塚 予習シリーズ 算数 徹底解説 5年上第1回 倍数と約数ークイックラーニング
今日は、予習シリーズ算数の倍数と約数を徹底分析しますね。予習シリーズ5年(上)の第1回ですよ。
予習シリーズ算数の倍数と約数って、どんな内容なの?
倍数は「ある数を何倍かしたもの」、約数は「ある整数を割り切ることのできる整数」をいいます。
パターンが決まってますから、上手に整理しておきましょう!
予習シリーズ算数 倍数と約数 例題1
【例題1】
(1)1から100までの整数のうち、7の倍数は何個ありますか。
(2)98の約数は何個ありますか。
これならわかるわ。
(1)は、14×7=98、15×7=105だから、14個ね。
(2)は、98=1×98、2×49、7×14だから、6個ね。
すごいですね!
小4の予習シリーズ算数で私も勉強しましたからね!
予習シリーズ算数 倍数と約数 例題2
公倍数と公約数を求める「連除法」の確認
【例題2】
148をわると4あまり、200をわると2あまる整数をすべて求めなさい。
この問題を解くときに、まず、最大公約数を「連除法」で求めるやり方をしっかり身につけておく必要があります。
つむぎママ、覚えてますか?
「連除法」ってなんだったかしら?
大丈夫! 私の動画解説を見て、思い出しましょう!
プリントは下からダウンロードして、1ページと2ページを見てくださいね。(このプリントは「進学塾アカデミーワン」のオリジナルプリントです。全問題に動画解説をつけていて、塾生はこれで学んでいます。)
算数テキスト (602 ダウンロード )思い出したわ! 中学生のときにもやりましたね。
良かったです! では、例題2を解いていきましょう。
例題2のポイントと解き方
【例題2】
148をわると4あまり、200をわると2あまる整数をすべて求めなさい。
この問題は「わる数」を求める問題ですから、「約数を求めなさい」と言っていることをまず押さえましょう。
この問題を解くときのポイントは2つです。
そうすると、本問では、(148-4=)144 と(200-2=)198の公約数のうち、4より大きい数を求めればいい、ということになります。
最大公約数は18ですから、公約数は{1,2,3,6,9,18}となり、このうち4より大きい{6,9,18}が答えです。
納得するまでが勉強
なるほど! これでカンペキね。
ところが…、そうでもないんです。ここでのポイントを、公式として頭にスッと入る子どもと、そうでない子どもがいるんです。
ここでは、①公約数を求める、②公約数の約数を求める、③あまりより大きい整数に絞る、という3つのステップがありますね。
解答まで3つのステップがあるということは、一部の小学生にとっては、まだまだとても難しいんです。
このような場合は、まず、②公約数の約数を求めるところ(1,2,3,6,9,18)まで解かせて、その後で、これらがすべて答えになるかどうかを確かめてもらうなどして、答えを納得させることが大事です。
自分が理解することよりも「大人の考える正解を追う」ような学習は、本当の学力に結びつかないことに注意する必要があります。
予習シリーズ算数 倍数と約数 例題3
【例題3】問われるのは「倍数」か「約数」か
【例題3】
18でわっても42でわってもわり切れる1以上の整数について、次の問いに答えなさい。
(1)このような整数のうち、小さい方から5番目の整数はいくつですか。
(2)このような整数のうち、3000に最も近い整数はいくつですか。
つむぎママ、この問題で問われているのは「倍数」ですか、それとも「約数」ですか。
「わられる数」が聞かれてるから、つまり「倍数」ね!
その通りです!この問題では、18と42の公倍数の問題ですね。公倍数では、次のポイントをしっかり押さえておきましょう!
【例題3】のポイントと解き方
【例題3】のポイントは次の通りです!
【例題3】
18でわっても42でわってもわり切れる1以上の整数について、次の問いに答えなさい。
(1)このような整数のうち、小さい方から5番目の整数はいくつですか。
(2)このような整数のうち、3000に最も近い整数はいくつですか。
すると、18と42の最小公倍数は126なので、(1)の答えは、126×5=630。
(2)は「3000に最も近い整数」といっていますから、3000を超えても良い、ということに注意しましょう。
すると、(2)の答えは、3000÷126=23…102なので、126×23=2898、126×24=3024より、3000に最も近い2024。
【例題1】~【例題3】のつまづきポイント
けっこう、計算が面倒だわ…
そうですね。頭では理屈としてわかっていても、3ケタや4ケタの大きな数のわり算やかけ算が遅いと、イヤになってしまう子どもが多いことに注意しなくてはなりません。
この単元でつまづかないためには、前もって3ケタや4ケタの大きな数のわり算やかけ算の練習をしておかなくてはいけませんね。
そして、例題1~例題3は絶対に身につけておかなければいけない絶対的な基本事項です。ここまでを、類題や基本問題でしっかり定着させてから、次の例題4以降に進みましょう!
予習シリーズ算数 倍数と約数 例題4
【例題4】を解く前にやるべき問題
【例題4】
3でわると2あまり、4でわると1あまる整数について、次の問いに答えなさい。
(1)このような整数を、最も小さい整数から順に3つ答えなさい。
(2)このような整数のうち、小さい方から20番目の整数はいくつですか。
(3)このような整数のうち、3けたで最も大きい整数はいくつですか。
この問題は、わられる数が聞かれてる「倍数」の問題ね。なんだかカンタンそう!
ちょっと待って! 実はこの問題に入る前にやっておくべき問題があります。
例えば、この問題を次のように変えますね。あまりを2にそろえました。
3でわると2あまり、4でわると2あまる整数について、次の問いに答えなさい。
(1)このような整数を、最も小さい整数から順に3つ答えなさい。
この問題の場合は、「3と4の公倍数に2を加えた数」、つまり、「3と4の最小公倍数である12の倍数に2を加えた数」の問題になります。
すると、(1)の答えは、{2,14,26}になります。なお、どんな整数に0をかけても積は0になりますから、0はすべての整数の倍数です。
これはカンタンですね。
ところが【例題4】の場合は、「3でわると2あまり、4でわると1あまる整数」となっていて、あまりがそろっていないんです。このために、とっつきにくくなっています。
子どもたちには、まず、あまりがそろっている問題を解かせて、その後に、【例題4】のようにあまりがそろっていない問題を解かせた方がいいですね。
予習シリーズ算数では、紙面の関係で、必要な問題・ステップが抜けるときがありますから、そこを補っていかなくてないけません。
【例題4】のポイントと解き方
そこで、「【例題4】あまりがそろっていない場合」の解法です!
【例題4】
3でわると2あまり、4でわると1あまる整数について、次の問いに答えなさい。
(1)このような整数を、最も小さい整数から順に3つ答えなさい。
(2)このような整数のうち、小さい方から20番目の整数はいくつですか。
(3)このような整数のうち、3けたで最も大きい整数はいくつですか。
3でわると2あまる数は{2、5、8、11…}、4でわると1あまる数は{1、5、9、13…}というふうに書き出して、最初にでてくる共通の5が題意をみたす最初の整数です。
この後の題意をみたす整数は、5に12の倍数を加えて、{5、17、29…}となります。
したがって、(1)の答えは{5、17、29…}です。
(2)と(3)は子どもに自力で解かせましょう。(2)の答えは、5+12×19=233。(3)の答えは、989になります(1000÷12をして、およそのめぼしをつけるとよいでしょう)。
予習シリーズ算数 倍数と約数 例題5
【例題5】以降の問題ができる子どもは約半分
ここで小休止しましょう。つむぎママ、ここまで解いてみて、大変じゃなかったですか?
そうねぇ。小学生がこんな問題を解くなんて、驚いたわ。
保護者の方がお子さんの予習シリーズ算数をみたら、「類題4あたりから類題が解けていない!」っていうケースがあります。
ザックリですが、【例題5】以降の問題に挑戦できる子どもはおよそ半分だと思います。
もっとできるようになって欲しいんだけど…。なぜ、例題5から挑戦できなくなってしまうんでしょう?
それは、予習シリーズ算数4年の内容と、予習シリーズ算数5年の質がちがうからなんです。
予習シリーズ算数5年の内容は、それまでとちがって「抽象的」になります。すると、次のような問題が起こってくるんです。
- 計算ミスをする(計算ミスを自分で修正できない)
- すぐに答えがでないのがイヤ
- 出した答えが合っているかどうか実感がない
なるほど。そうると、宿題にとりかかるまでに時間がかかってしまうとか、復習するのに時間がかかってしまって、【例題5】まで手が回らなくなってしまうってことね。
そうなんです!
【例題5】以降もきっちりこなしたい人は、【例題4】までの学習の負担を減らすといいですね。
そのためには、予習シリーズ算数を塾で勉強する前に、【例題4】までを、まさに「予習」しておくといいですよ。
例題1のところで、私の塾の動画をお見せしました。「クイックラーニング」と検索すると、「クイックラーニングへようこそ」というサイトがでてきます。そこでプリントも配布していますので、ぜひ、活用してください。
それでは、【例題5】を見ていきましょう!
【例題5】のポイントと解き方
【例題5】
6でわると1あまり、8でわると3あまる200以下の整数のうち、最も小さい整数、最も大きい整数はそれぞれいくつですか。
まず、例題4と同じように解くとどうなりますか?
6でわると1あまる数は{1、7、13、19…}、8でわると3あまる数は{3、11、19、27…}というふうに書き出して、最初にでてくる共通の19が題意をみたす最初の整数ですね。
この後の題意をみたす整数は、19に、6と8の最小公倍数24の倍数を加えて、{19、43、67…}となりますね。
さすがです! すると、最も小さい整数は19ですね。
では、最も大きい整数は何ですか?
200÷24=8…8だから、19+24×7=187ですね。
大正解です、おめでとうございます!
【例題4】と【例題5】のちがい
ところで、【例題4】と【例題5】の問題文をみると、似て非なる部分があります。さて、どこでしょう?
【例題4】3でわると2あまり、4でわると1あまる整数
【例題5】6でわると1あまり、8でわると3あまる整数
あまりが共通じゃないところは同じなんだけど…
あまり重要じゃないですから、タネ明かしますね。
【例題5】では、わる数とあまりの間に、「6-1=8-3=5」という関係があります。
このことから、次のようなことが言えます。
- 6でわると1あまる数=5をたすと6でわり切れる数 … ①
- 8でわると3あまる数=5をたすと8でわり切れる数 … ②
①と②から、【例題5】で求める数は、6と8の最小公倍数である24の倍数から5を引いた数になります。
なるほど。そうすると、最小の整数は24-5=19になるわ。こっちの方がカンタンね。
ですね!
でも、基本的には最初の解法の方が使える範囲が広いから、最初の解法をしっかりできるようにするといいですよ。
さあ、【例題6】に進みましょう!
予習シリーズ算数 倍数と約数 例題6
ここからが入試に出る!
【例題6】
ある工場で、同じ製品を作る2台の機械A、Bがあります。Aは6分ごとに、Bは8分ごとに1個の製品を作ります。この2台の機械を同時に動かし始めたとき、200個目の製品ができるのは、2台の機械を動かし始めてから何時間何分後ですか。
なんだか難しそう…。できればやりたくないわ。
確かにそうだといいですね。
でも、【例題1】から【例題5】は、そのまま入試で問われることはほとんどありません。
中学入試で出る倍数と約数の問題は、【例題6】のように、ルールに従って処理していく問題です。
ここをできるようにしないともったいないですね。がんばっていきましょう!
【例題6】のポイントと解き方
着眼点は次の通り!
なるほど。24分ごとに同じことがくり返されるから、24分を1つのカタマリとして考えればいいのね!
そうです!
24分あたりで、機械Aは4個、機械Bは3個、機械Aと機械Bを合わせて7個の製品を作ります。
そうすると、200個つくるためには、200÷7=28…4 だから 28×7=196個、196個作るのにかかる時間は24×28=672分かかるのね。
でも、あと(200-196=)4個作らなければいけないから、あと何分かかるか計算しないといけないわ。どうすればいいんでしょう?
よく気づきましたね!ここから「地道にあてはめていく力」が試されます。出題者はこの力を見ているんです。
そういうことなんですね。じゃあ、ここを突破しないと!
えーっと、6分でAが1個、8分でBが1個、12分でAが1個、16分でBが1個、これで4個だわ。
すると、残りの4個分を作るのに16分かかるのね。だから答えは、672+16=688分ね!
お見事! さすがですね。
答えを出したら、必ず、問題文で何が聞かれているかを確認しましょう。
問題では「何時間何分後ですか」って聞かれていますから、688分を時間と分で表さないと不正解になってしまいます。
そうか!あぶなかったわ。
688÷60=11…28だから、答えは11時間28分後ね。
よくできました! では、最後、【例題7】もやってしまいましょう。
予習シリーズ算数 倍数と約数 例題7
ベン図で解ける倍数の問題は書き出しても解ける
【例題7】
1から100までの整数のうち、2でわり切れるが、3でも4でもわり切れない整数は何個ありますか。
倍数の問題はベン図でも解けるのですが、この問題はベン図で解こうとすると論理的に複雑になりますから、書き出して解きましょう。
つまり、「倍数の問題は、ベン図ではなく書き出して解く」ようにすると解法がシンプルになる、ということです。
【例題7】のポイントと解き方
2と3と4の最小公倍数は12ですから、1から12までに「2でわり切れるが、3でも4でもわり切れない整数」を調べていきましょう。(表は右にスクロールできます)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
2の倍数 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
3の倍数 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
4の倍数 | 〇 | 〇 | 〇 |
1から12までに「2でわり切れるが、3でも4でもわり切れない整数」は、2と10の2個だけね。
そうなります。すると、13~24の中にも2個、25~36の中にも2個ある、ということになります。
そうすると、100÷12=8…4だから、8×2=16個が正解ですね。
おしいです!「100÷12=8…4」のあまりの4は「97、98、99、100」なんですけど、この中にもあてはまる整数はありませんか?
97 | 98 | 99 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | |
2の倍数 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
3の倍数 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
4の倍数 | 〇 | 〇 | 〇 |
そうか、98があてはまりますね! だから正解は、16+1=17個ね。
正解です! おめでとうございます!
ベン図で解く問題
倍数の問題はこのような感じで調べましたけど、一般的なベン図を使た解法を確認しておきましょう。
予習シリーズにはありませんが、下の2つの問題を見てください。
【ベン図での解法】
(1)あるクラスで好きな科目を調べたところ、社会が好きな人は20人、理科が好きな人は25人、両方とも好きな人は13人でした。クラス全体の人数が39人の時、どちらも嫌いな人は何人ですか。
(2)150人の小学生に次のようなアンケートをしました。
「算数、国語、理科のなかから好きなグループを選んでください。いくつ選んでもかまいません。」
アンケートの結果は、算数を選んだ人が79人、国語を選んだ人が107人、理科を選んだ人が95人、算数と国語の両方を選んだ人が48人、国語と理科の両方を選んだ人が60人、算数と理科の両方を選んだ人が51人でした。また、誰も選ばなかった人はいませんでした。では、算数と国語と理科の全部を選んだ人は何人いましたか?
これらの問題は、こちらの私の動画でベン図の解法を確認してから、チャレンジしてみてください。
解答は次の通りです。(1)11人 (2)28人
予習シリーズ算数 倍数と約数 まとめ
今日の予習シリーズ算数〈倍数と約数〉のポイントをまとめておきますね。
今日は大変だったわ。でも、解けるとスッキリするわ。
ですよね! この調子でがんばっていきましょう。ご質問があれば、下のフォームからお願いします。